時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

官僚は悪か―日本国が財政の優等生であった頃

 民主党政権は、日本国の政治を歪めた元凶として、官僚叩きに邁進しているようです。しかしながら、殊に、日本国が財政の優等生であった頃とは、大蔵官僚が財政をコントロールしていた時期であったことを考えますと、無碍に官僚が悪いとは言い切れないように思えるのです。

 日本国の政治システムが、実際に、官僚主導型から政治主導型へと切り替わったのは、橋本内閣の時期であったそうです(産経新聞本日付朝刊)。日本国の財政が悪化の一途を辿るのは、橋本内閣以降のことであり、以後、財政赤字は、急カーブを描くように増大してゆきます。その背景には、バブル崩壊もあったのですが、財政悪化に、財政拡大に歯止めがかからなくなった様子を伺うことができるのです。民主党政権は、脱官僚を目指すそうですが、この方向性は、さらにこの傾向を強めることになるかもしれません。

 今では、先進国の中では財政赤字率は桁外れに高く、最悪のランキングを記録していますが、かつては、プライマリー・バランスが維持され、健全財政が国際的に評価されていた時期もありました。政治主導型への転換が、放漫財政を規律する装置を外すことを意味するとしたならば、これもまた問題と言えそうなのです。官僚組織が、”ばらまき”に傾斜しがちな政治を牽制するシステムとして働くならば、むしろ、制御装置としての行政組織の再構築を図ることも、一つの選択肢なのではないか、と思うのです。

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