時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

債務償還費の廃止で財政破綻?

 財務省OBの談話を引いて、景気対策のために44兆円を上回る国債を発行するためには、歳出に占める10兆円の債務償還費を廃止すればよい、とする内容の記事が日刊ゲンダイに掲載されたそうです。この主張によりますと、さらなる国債発行を財務省に迫ることができるそうですが、この方法、リスクが高すぎると思うのです。

 現在、法律によって、国債残高の1.6%を、債務償還費として歳出に組み入れることが義務付けられているそうです。債務償還費の制度を設けた趣旨は、安定した借金の返済にありますので、この制度があってこそ、これまで国債が無事に消化されてきたとも言えます。ここで、政府が、この制度を廃止して、財政拡大政策を打ち出すとしますと、市場に対して、日本国政府には国債を償還する意思がない、とするメッセージとして受け取られかねません。この結果、国債の消化が滞り、暴落するリスクさえ抱えることになります。また、国民の預金額が減少傾向にある中での国債の増発は、民間の資金不足を招く恐れもあり、景気回復の足枷にもなるかもしれません。

 ここはやはり、この制度を維持するか、あるいは、廃止するにしても、経済官庁幹部が指摘するように、それをそのまま国債の償還に充てるほうがまだまし、と思うのです。このことにより、少なくとも、市場の信頼は維持できますし、利払い分の歳出は削減できるのですから。

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