時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

二次補正2.7兆円による円高・株安対策のリスク

 本日、管国家戦略相は、二次補正で2.7兆円規模の円高・株安対策を行う方針を示したと伝わります。しかしながら、この政策、特に株安対策には、相当のリスクが伴うと思うのです。

 何故ならば、まず、円高を抑えるためには、政府が、円売りドル買い介入を行う必要があります。この介入資金を調達するために、政府は、TB(短期国債)を発行して市中から円を集めるのですが、その際に、市中の資金を吸収してしまう可能性があります。もっとも、円高対策は、株安対策ほどにはリスクは高くはありませんし、外貨準備は増加しますので、それを有効に活用こともできます。

 その一方で、特に問題となるのは株安対策です。株安を止めるとしますと、政府は、株式市場で日本株を購入することになるのですが、第一に、対象となる株式を決めなくてはなりません。値下がり株、例えば、日航の株式を購入するとなりますと、日本航空は国営化ということになります。また、株価全般の値上がりを意図するにしても、何らかの客観的な基準を設定しませんと、企業間に不公平が発生します。そうして、最も恐れるべきは、投機筋による売り浴びせです。政府介入を見込んで、投機筋が、大量の株式売却に走ることもあるのです。この事態が発生しますと、政府介入は底なし沼に陥り、介入資金が底をつく可能性もあります。

 円高や株安は、中国の元安政策など、国際経済の歪みから発生していると考えられますので、小手先の政府介入では、日本国は不況から脱出できそうにありません。安易な政府介入よりも、貿易の不均衡を是正すべくG20で各国に働き掛けたり、企業体質強化のための政策の考案するほうが望ましいと思うのです。

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