時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”ハト耳”は”王の目””王の耳”?

 行政刷新会議では、公務員や国民から規制改革についての意見や、行政の”むだ”と不正について内部告発を受け付ける機関として、”ハト耳”なる機関を開設するそうです。”ハト耳”という命名に、ふと、アケメネス朝ペルシャ帝国にあって、大王直属の監察官であった”王の目””王の耳”が頭に浮かぶのですが、現代日本国の”ハト耳”は有効に機能するのでしょうか。

 ”ハト耳”が、意図する通りに、過剰な規制を減らし、行政の無駄を省くと同時に、公務員の不正を暴くものとなるならば、この機関は、行財政改革に大いに役立つかもしれませんし、行政を浄化する作用があるかもしれません。この制度を全面的に否定するつもりはありませんが、”ハト耳”にも心配すべきことがあります。それは、第一に、仕分け作業で明らかとなったように、自治労など、民主党の支持勢力が絡む事業のむだや不正にどれだけ切り込めるか、ということです。身内びいきでは、”ハト耳”は一つしか付いていないかもしれません。第二に、”ハト耳”が、いつの間にか、密告・監視組織に変貌してしまうことです。もちろん、違法行為や犯罪は公的機関に通報されて当然なのですが、思想統制にまで及ぶとなりますと、社会・共産主義体制を彷彿させてしまいます。

 首相の名前を冠するところに、民主党政権の古代帝国に通じる中央集権志向が見え隠れするようにも思えるのですが、少なくとも、懸念される事態が起きないように、”ハト耳”の中立性と透明性を高めると共に、議会、あるいは、野党の関与をも深めるべきとも思うのです。

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