時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮との極秘交渉も秘密外交では

 先日の新聞報道によりますと、民主党政権では、水面下において北朝鮮との間で拉致被害者の帰国に関する極秘交渉を行っているそうです。交渉に当たっているのは、民主党小沢幹事長に近い人物とされており、この交渉には、参議院選挙目当ての政治的な打算が働いている可能性はかなり高いと言えそうです。

 政治的な打算から始まる秘密交渉は、相手に足元を見られますので、得てして相手国有利に進展しがちです。今回の交渉もまた、何名かの拉致被害者の方々の帰国は実現するかもしれませんが、北朝鮮は、早期の拉致問題の幕引きを狙っていますので、100名を越えるとされる被害者全員の帰国はかなわないかもしれません。反対に、拉致被害者を帰国させたということで、北朝鮮からは、見返りとして平壌宣言の履行や制裁緩和を求められるかもしれません。核開発問題も解決していないことを考えますと、この取引は、極めてリスクが高いと言わざるを得ないのです。

 我が国と北朝鮮との間には国交はないものの、六カ国協議で見られたように、政府間交渉の場を公式に設けることはできます。民主党政権は、核密約についてあれだけ非難したのですから、自らも公式ルートから外れた独裁国家との危険な秘密外交は行うべきではないと思うのです。

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