時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

二つの危険管理―政府の背信と軍隊のクーデタ

 先日、北沢防衛大臣は、陸自連隊長の方の発言について、軍隊によるクーデタの可能性を持ち出し、”極めて危険な思想”と断じたと報じられています。”危険な思想”と言えば、小沢氏の”人民解放軍の野戦司令官”発言の方が、はるかに危険性が高いのですが、この発言については、防衛大臣として、何らの責任追及はないようです。

 この一連の事件から見えてくることは、国家の制度には、二つの安全装置が必要である、ということです。その一つは、軍隊が、政府を無視して独断で行動することを防止するためのシビリアン・コントロールであり、もう一つは、政府が、国家と国民を守るという義務を怠り、外国の手先となって、自国の軍隊に背信行為を命じることを阻止する制度です。現在、シビリアン・コントロールの方は制度化されていますが、政府や政治家に対するチェック機能は充分とは言えません。

 防衛大臣の任務が、国外からの脅威に対処することであることを考えますと、北沢防衛大臣が、国内の自衛隊、しかも、我が国の安全を慮った発言を脅威と捉えたことには、どこか、倒錯があるように思えてなりません。急ぐべきは、政府や政治家の背信を防ぐシステムなのではないでしょうか。

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