時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

密約問題の謎

 先日、東京地方裁判所は、政府に対して、沖縄返還に伴い存在されたとされる軍用地回復費用の肩代わりなどの密約を、開示するように命じました。この密約問題には、幾つかの謎があると思うのです。

 第一に、密約の法律上の位置が定かではないことです。密約は、公式の外交上の極秘文書であるかもしれませんし、当時の担当者の非公式のメモ、あるいは、口頭での発言であったかもしれません。

 第二に、軍用地の回復費用などには、巨額の支出を要しますので、もし、密約があったとしたならば、予算に計上されていたはずです。予算に計上されますと、国会での審議の対象となりますので、もはや”密約”ではなくなり、密約という性質そのものと矛盾します。また、予算に計上されなかったとしますと、一体、その費用は何処から捻出されたのか、謎が残ります。

 密約問題は、密約とは何か、そうして密約のその後を明らかにしませんと、議論が空回りしてしまいそうのです。

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