時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

検察審査会―”民主主義対民主主義”は当然の現象

 検察審再開が、民主党の小沢氏に対して「起訴相当」とする判断を示したことに対して、民意で成立した政権に敵対する行為として、批判される方もおります。しかしながら、普通選挙制度は完璧な制度ではありませんし、三権分立の意義は、まさに、この外部からのチェックにこそあります。

 民主主義は、権力分立とセットになって、はじめて権力の暴走を防ぐことができます。もし、選挙で選ばれた政治家に絶対的な権力を付与され、法からも超越しているとしますと、それは、民主的な政府ではなく、”選挙皇帝”、あるいは、”独裁者”に過ぎません。国民は、一たび権力者を選出しますと、白紙委任となり、たとえ法に違反した行為を行ったとしましても、それを問えなくなるのです。民主主義を語る場合には、選挙制度の有無のみではなく、統治権力を上手にバランスさせ、権力の暴走を抑止する制度が備わっているかどうかをも見なければならないのです。

 一見、選挙で選ばれた政治家を起訴することは、民主主義に逆行しているように見えますが、権力が分立している以上、”民主主義対民主主義”は、当然に起こり得る現象です。検察審査会の結論は、再度、司法で検証されることで公平・中立的な立場から判断されるのですから、民主主義を盾に検察審査会を非難することには無理があると思うのです。

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