時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国人の長野聖火リレー動員とパリ1万人デモ

 昨日、チベットダライ・ラマ14世が、チベット弾圧に抗議して、北京オリンピック聖火リレーの出発点となることを断った善光寺を訪問されたそうです。長野市が、全国から動員された中国人の振る国旗で赤く染まった光景は記憶に新しいところですが、パリでは、中国人1万人が、治安の改善を求めてデモを行ったそうです。

 事件の発端は、華僑系の人の結婚式を暴徒が取り囲んだことにあり、デモでは、「暴力反対。安全を与えよ。」とのスローガンを掲げているそうです。おそらく、その背景には、地元住民と華僑系との摩擦や亀裂があるのでしょうが、チベットの人々は、自国にいながらにして、異民族による暴力を日常的に受けております。一方、パリの中国人は、暴力の場は自国ではなく異国であり、暴力の主体も政府ではなく民間の集団です。チベットの人々の方が、はるかに救われない状況におります。

 中国の人々が、暴力に反対し、安全を求めるならば、チベットの人々に暴力をふるい、一方的な弾圧を行う中国政府に対しても抗議すべきなのではないでしょうか。この事件をきっかけとして、中国の人々が、暴力に反対するダライ・ラマ14世の言葉に、わずかなりとも耳を傾けることを願うばかりです。

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