時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

議院のビデオ公開請求と菅内閣の政治責任

 昨日、衆議院予算委員会で、那覇地検に対してビデオ公開を求める決議が採択されたそうです。この決議により、ビデオ公開を阻んでいるのは誰かが、はっきりすることになります。

 憲法第63条には、議院の国政調査権を定めており、「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求できる」とあります。この請求に関しては、さらに国会法で詳しい規定があり、記録の提出を請求された官公署は、原則として、その求めに応じなければならないとされています(国会法104条1項)。ただし、求めに応じない場合には、内閣や官公署は、理由を付さねばならず、その理由に納得した場合には、要求に応じなくてもよいそうですが(2項)、もし、納得しない場合には、内閣は、”国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨”の声明を出さなければならないそうです(3項)。つまり、この内閣の声明が、唯一、記録の提出を止める効力を持つのです。

 この手続きからしますと、内閣が上記の声明を発すれば、やはり、ビデオの公開を阻んでいるのは菅内閣と言うことになります。たとえ、那覇地検が拒絶したとしても、内閣が10日以内に声明を出さない限り(4項)、那覇地検は、ビデオを提出しなければならないからです(最も望ましいのは、那覇地検がビデオの公開に応じ、内閣は、それを黙認すること)。菅内閣は、責任転化に必死ですが、政治責任から逃れることはできないのではないでしょうか。

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