時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

イクメン知事―私優先は無責任では

 最近、子育てへの父親の参加が奨励され、”イクメン”なる言葉も流行っているようです。マスコミ総出の”イクメン礼賛”からしますと、何やら、背景がありそうな気配も感じられるのですが、さてはて、知事の育児休暇取得は、妥当なのでしょうか。

 おそらく、知事が一公務員として育児休暇を取得したとしても、それ自体は、法律に違反する行為ではないのでしょう。問題となるのは、政治家としての倫理感であり、また、自らを選出した住民に対する責任感と言えそうです。一般の会社であれば、子育て時期の若い社員が、最高責任者となることはめったにはありませんので、他の社員が、育児休暇社員の不在で空いた仕事をカバーすることができます。一方、知事ともなりますと、地方自治体に対する責任は重大であり、なすべき仕事も膨大であるはずです。むしろ、知事の育児休暇取得は、知事という職が、育児の片手間でできる仕事であることを自ら証明することになります。また、この制度は、最近になって設けられたものであり、それ以前の人々が、育児休暇なく仕事をこなしてきたことを考えますと、必要性が低い休暇を、公人が敢えて採っていることになりますので、納得しない住民も多いはずです(住民の中には、採りたくても採れない人もいる…)。

 知事選の時には、住民の人々は、知事が育児休暇を採る予定であることを知らずして投票したのですから、この点からも、信義に悖るとも言えそうです(もし、選挙時に公言していたら、当選しなかったかもしれない…)。イクメン知事に対する住民の評価は、次期選挙の結果に現れるのかもしれません。

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