時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日中密約―仙谷内閣官房長官に権限はない

 民主党政権が、尖閣沖のビデオの公開を拒んできた理由として、仙谷官房長官と中国政府との間の密約が指摘されています。もしこれが事実であるとすれば、官房長官の密約は、内閣法の規定に違反する越権行為なのではないでしょうか。

 内閣法の第13条は、内閣官房の役割について規定しております。その職務の内容は、内閣事項の整理や庶務であり、政策についても、企画・立案や総合調整の役割が定められており、政策決定を任されているわけではありません。内閣官房長官とは、いわば、事務方の調整役であって、独断で外国に密使を送ったり、外交上の約束を結ぶような権限は認められていないのです。つまり、尖閣ビデオの非公開や沖縄県知事尖閣諸島訪問の中止といった密約は、無権限で行われたのであり、官房長官による外交権の簒奪とも言えます。

 仙谷官房長官は、常々、自国に不都合な他者の行為に対しては、”違法”とか”犯罪”とか叫んで糾弾していますが、自らの越権行為については、無自覚なようです。法秩序を破壊した仙谷官房長官こそ、今日の危機の元凶として、罪と責任を厳しく問われるべきと思うのです。

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