時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ウィキリークス―外交公電の率直な表現は仕方がない

 ”外交的表現”と言いますと、一般的にはオブラートで包みこんだような、婉曲な言い方を意味しています。このため、ウィキリークスが公表した機密外交公電を読んだ人々は、そのあまりにストレートな表現に驚いたかもしれません。

 しかしながら、これらの文書が、本国に、外国の内情や政策決定者の人物像を正確に伝えるために作成されたことを考えますと、非難ばかりはできないように思うのです。もし、回りくどい、美辞麗句に満ちた言葉を羅列していたとしますと、本国政府は、誤った情報、あるいは、不正確な分析に基づいて政策を立案することになるからです。もちろん、酷評された側にしますと、腹立たしい限りとはなりますが、おそらく、自国の在外公館からの公電も、同じようなものなのではないでしょうか。外国政府による辛辣な評価は、大目に見てもよいように思うのです。

 むしろ、このリークをきっかけにして、各国の大使館が、事実を正確に報告しなくなる方がよほど害があります。相手国へのリークを怖れて、在外公館から上がってくる情報は、事実を捻じ曲げた、遠慮した書き方になるかもしれないからです。日本国のマスコミのように、海外の情報を正確に伝えなくなりますと、その被害は、国民が蒙ることになります。

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