時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

エジプト情勢―無口な日本国政府の不思議

 エジプトの反体制デモの混乱により、観光なので現地を訪れていた邦人の、飛行機による救出が検討されているそうです。その一方で、エジプト情勢に対する日本国政府の積極的な立場表明がないのは、どうしたことなのでしょうか。

 アメリカやヨーロッパ各国は、ムバラク大統領に対する民主化要求を迫るなど、民主化支援を表明しています。これらの諸国は、エジプトとの歴史的な繋がりが深いということもありますが、日本国もまた、石油依存度が高い中東で発生した事件ですので、無関係というわけではありません。エジプト国民は、長期独裁、政府の腐敗、失業率の上昇などに苦しんでおり、民主化の要求には、誰もが納得する理由があります。にもかかわらず、前原外相は、エジプト大使と会見して、邦人の救出支援と平和的な解決を求めたそうですが、国際的なアピールは行っていないようです。

 もしかしますと、その背景には、天安門事件を起こした中国への配慮があるのかもしれず、日本国政府の消極的な態度は怪しい限りです。民主化を弾圧してきた中国を牽制するためにも、日本国政府は、民主国家として、エジプトの民主化支援を内外に表明すべきではないかと思うのです。

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