時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

独裁体制消滅は歴史の自然な流れ

 つい数年前まで、中東における民主化は無理なのではないかとする見解が、多数を占めていました。しかしながら、チュニジアで始まった反政府運動が中東一帯に連鎖し、エジプトでムバラク政権が倒されたように、民主主義の拡大は否定のしようもありません。

 それでは、何故、民主化運動は、かくも人々の心を捉えたのでしょうか。それは、人類に共通する何かが、民主主義という価値の中にあるからなのでしょう。誰も、一人の独裁者や一部の特権者だけに権力と富が集中し、他の国民が、一方的な支配と隷属を強いられる状況を望ましいと思うはずはありません。一方的な支配に甘んじるのではなく、自らにも選択権や決定権があり、自由を享受できる国に生きることを望まない人はいないのです。独裁者とは、自分一人だけに自由と権利を認める、徹底した利己主義者なのです。

 民主主義への共感は、人間の誰もが持つ本性に触れるからであり、それを止めることはできません。独裁政権の維持には、脅迫や弾圧といった方法で、人の本性を暴力でねじ伏せるしかなく、それ故に、独裁者は、さらに国民から嫌悪され、反感をもたれるのです。21世紀を迎えた今日、人々が、自らの素直に本性に従い、独裁体制が消えてゆく過程は、自然な人類の歴史の歩みなのではないかと思うのです。

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