時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ロシアは連合国の不拡大方針を無視している

 ロシアは、北方領土について、日本国政府に、第二次世界大戦の結果として、ロシア併合を承認するよう迫っていると報じられています。しかしながら、戦争の結果として領土を拡張しないことは、連合国の共通方針であり、かつ、第二次世界大戦大義が”侵略国”と闘うことであったことを考えますと、戦争による領土割譲要求には、正当性も合法性もないと思うのです。

 そもそも、第二次世界大戦の発端は、ナチス・ドイツソ連が結託して行ったポーランド侵略にありました。戦争の初期には、ソ連もまた、”侵略国”であったわけです。にもかかわらず、独ソ開戦に至ると、今度は、自らを”被侵略国”とみなし、連合国側で参戦するのですが、戦争末期には、再び”侵略国”となり、北方領土を占領してしまうのです。日ソ中立条約を破り、連合国側の一員であることを理由に対日参戦した以上、せめて、連合国の不拡大方針を守る義務があるはずです。連合国の中で、他国の領土併合、つまり、侵略をしたのは、ソ連と中国だけです。侵略者との闘いを理由に参戦して、最後は自ら侵略者となる国の主張に、正義はあるのでしょうか。

 第二次世界大戦の結果、領土拡張ができると考えているのは、ロシアだけです。そもそも、第一次世界大戦に際して、レーニンが最初に不拡大方針を打ち出したにもかかわらず・・・。ロシアのメドヴェージェフ大統領は、国内では、正義と法を尊重するよう訴えているようですが、日本国に対するロシアの言い分は、無法者の台詞にしか聞こえないのです。

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