時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

メア氏発言―本音と建前の狂想曲

 米国務省日本部長のメア氏の発言は、氏の更迭まで発展し、波紋を投げかけているようです。沖縄県民が怒るのは理解できますが、この問題、なかなか奥が深いのです。

 何故ならば、メア氏の指摘した本音と建前の使い分けこそが、基地問題を始め、さまざまな問題を深刻化してきた最大の原因であるからです。極めて興味深いことに、氏は、講演で、日本では、本音を語ると批判される、と述べたそうです。まさに、自身の指摘通りに、メア氏は、本音を語った故に、糾弾され、更迭される”はめ”に陥ったのです。考えても見ますと、日米沖縄の三者は、本音と建前に翻弄されてきました。氏は、沖縄の議員は、日本政府と建前では合意し、沖縄に帰ると合意を否定すると不満を述べていますが、この二枚舌は、民主党政権にも言えることです。本音では日米安保の破棄を望みながら、建前では、維持強化の姿勢で日米会談を行うのですから。また、本音と建前の背景には、中国などの外国の工作活動がある場合も想定されます。これでは、二重三重に本音と建前が交錯しますので、米国側のフラストレーションも理解に難くないのです。

 お互いに本音を語らなくなった外交が、果たして実のあるものとなるのか、疑問なところですし、外交の場ではない場所での個人的な発言に、目くじらを立てますと、言論の封殺にもなりかねません。あけすけに非難された沖縄県民の怒りはもっともですが、本音と建前の狂想曲に皆が疲労困憊する状況からの脱出を、そろそろ考えてもよい時期なのではないでしょうか。

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