時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

復興の優先順位付には根拠を

 本日、菅首相は、大津波に襲われた石巻市を視察し、”石巻漁港の整備を最優先に”と発言したことが、波紋を広げているようです。もちろん、石巻市の復興は重要な課題なのですが、優先順位を付けるには、国民や被災地に対して充分な根拠を示す必要があると思うのです。

 もし、石巻漁港を最優先と位置付けるならば、国民の多くが納得する理由があるはずです。国内有数の漁港と言えば、同様に甚大な被害を受けた気仙沼市もありますし、三陸地方には、規模は小さいながらも漁業への依存度が高い漁村がたくさんあります。また、漁業被害の総額は、4764億円程と見積もられているそうですので、あえて優先順位をつけなくても、同時に復興事業をすすめることが、不可能な額ではないのです。

 視察地での人気取りのために、菅首相が、安易に、かつ、独断で優先順位を決定したとしますと、それは軽率な行為と言わざるを得ません。もし、優先順位を付けざるを得ないならば、全ての被災者地からの声を聞いたうえで、国会の審議を経て決定すべきなのではないでしょうか。水産加工業の重要拠点であるとか、ハブ機能を持つとか、他の被災地にも益となるような何らかの特別な理由がない限り、なるべく優先順位をつけない方法を模索すべきと思うのです。

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