時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国人船長釈放・起訴猶予―政府の中国化による混乱

 一昨日、那覇検察審査会は、中国人船長に対する起訴猶予処分に対して、「起訴相当」の議決を下しました。そもそも、この事件、政府が、迂闊にも、中国の土壌に足を踏み入れてしまったことに原因があると思うのです。

 我が国は、民主的な権力分立の制度の下で、司法の独立性が保障されていますので、もし、中国政府が何らかの圧力をかけてきた場合には、”我が国には、犯罪者の処分は、司法の権限である”として、中国の要求を拒否する正当な理由がありました。そもそも、中国政府自らが、船長は民間人と説明しているのですから、一般の外国人犯罪と同様に扱うことに問題はなかったはずなのです(中国側の強引な態度の背景には、船長の政治・軍事的な背景が疑われていた・・・)。さらに、中国側が、我が国の領有権に異議を唱えるならば、司法解決の道もあるのですから、実力行使は認められず、国際的な責任を問われるのは、中国側であると返答することもできました。

 この事件では、日本国政府は、中国のペースに乗せられて、司法解決すべき問題を政治化してしまいました(表向きは否定しているけれども・・・)。権力分立を否定している一党独裁共産主義体制に合わせてしまったことで、我が国の国内においても、政治と司法の分立体制が曖昧となり、混乱をきたしてしまったのです。この混乱の軌道修正を、検察審査会制度が担っているように思えるのです。

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