時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

矛盾に満ちた人権擁護法案

 民主党政権は、震災の混乱に乗じて、人権侵害法案を制定しようとしているようです。この法案は、矛盾に満ちていると思うのです。

 この制度、人権被害を受けた人が救済の対象となる、ということですが、被害者は、人権委員会に被害を申し出た時点で、自らの背景を明らかにすることになります。つまり、被害者は、自らが、特別に人権侵害を受ける立場にあることを認め、委員会もまた、この特別の立場を承認することになるのです。このことは、被害申請ができる人とできない人を法律において分けることを意味しており、平等を目的としながら、差別を認めるという矛盾した事態が発生します。どのような人を、特別の立場の人と見なすのか、という、この基準そのものが、差別的となりかねないのです。例えば、外国人差別について、中国人や在日韓国・朝鮮人は、人権侵害の対象となることを認めても、欧米諸国の出身者には認めない、となりますと、政府は、公的に中国人や在日韓国・朝鮮人を差別することになります。

 人権侵害をなくすために、人権侵害的な基準を設けるということは、矛盾に満ちています。人権擁護法案には、そのほかにも、一般の国民の人権を侵害する可能性もあるのですから、こうした問題点の多い法律は、制定すべきではないと思うのです。

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