時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

福島第1原発1号機の謎

 先ほど、本ブログで、昨日の東電の説明に関連して、手動による非常用冷却装置の不自然な停止について、幾つかのシナリオを挙げた記事を書いたのですが、その後、この問題について詳細に記した関連記事を幾つか読んで、謎の多くが氷解しましたので、先の記事は削除することにしました。情報不足の状態で、不確かな記事を掲載しましたことを、謹んでお詫び申し上げます。

 氷解した謎とは、第一に、津波警報が発令されているにも拘わらず、現場の作業員の方々は、持ち場を離れず、原子炉のコントロールに尽力していたことです。避難しなかったとなりますと、工作員やテロリストが活動する余地は乏しくなり、工作員説は、成り立たなくなります。また、運転マニュアルでは、原子炉内の圧力や温度が一定の基準を下回った場合、冷却装置を停止するよう、指示されているそうです。このことは、地震発生に際して、必ずしも冷却一辺倒ではないことをも示しており、冷却停止=意図的な事故の拡大とは言えないようです。さらに、第一号機は、他の原子炉とは違って、旧式の沸騰水型であるために、手動によるベントの開け閉めでしか、原子炉内の圧力や温度を制御できないことも、最初に水素爆発を起こした原因とのことです。

 上記の情報から推測しますと、地震による計器の故障が主たる原因、とも考えられるのですが、手動停止の謎の大半が解明されたとはいえ、一号機のベントの開放、ならびに、冷却材や海水の注入が遅れた謎は残ります(菅首相の視察が原因とも・・・)。人災とされる福島原発の事故は、不自然なことや、不可解なことの原因を丁寧に突き止めることで、ようやく、その全容を現すことになるのかもしれません。