時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

時代錯誤の中国の国際感覚

 先日、日経新聞の紙上にて、清華大学の国際関係研究院長の閻学道氏が、今後の中国の政治と国際社会の展望を語っていました。氏曰く、国際社会には、専制、覇権、王道の三種類があり、中国は、徳に基づく王道を目指すと言うのです。

 王道を目指すならばよいではないか、と考える方もおられましょうが、この感覚、時代錯誤ではないかと思うのです。何故、この考え方が時代錯誤であるかと申しますと、まず、第一に、国際法に基づく主権平等の原則を無視しており、国民国家体系という現代の国際関係の基本的なスタイルが抜け落ちていることです。つまり、”徳”への配慮あっても”法”はなく、いわば、人治主義なのです。この見解は、中国が、国際法を順守する意思がないことをも意味しています。第二に、専制であれ、覇権であれ、王道であれ、何れにしても、中国が中心に据えられていることです。つまり、中国は、国家間の対等な並列関係ではなく、常に、自国が頂点となるピラミッド型の国際社会を構想していることになります。問題は、この頂点に位置する中国が、専制となるか、覇者となるか、あるいは、徳治となるかの違いしかないのです。

 こうした見解を述べた閻氏が、国際関係の専門家となりますと、中国では、国際法が研究されていない可能性があります。あるいは、意図的に国際法の研究が放棄されているとなりますと、今後の中国は、”無法者”の如くに行動する可能性が高いのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

<a href="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</a>