時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本国政府はTPP交渉の場で徹底議論を

 昨日、野田首相は、事実上、TPP交渉への参加を表明しました。TPPについては、様々な不安や懸念が渦巻いていますが、交渉の場こそ、こうした疑問点を解消し、共通ルールに反映させるチャンスであると思うのです。

 通商交渉とは、国家レベルの国益に基づいた戦略と、国際レベルの共通のルール造りが同時に遂行される場でもあります。現在、アメリカ案がたたき台となっているようですが、参加国の国民が納得するためにも、徹底した議論を通して、公平かつ適正な共通ルールをつくる必要があります。例えば、相互性を尊重した柔軟なルールが採用されれば、コメなどの例外品目の承認を主張することができます。また、関税以外の市場開放政策についても、各国の政治、社会、文化などへの配慮から、協定の対象からの除外を求めることもできます。市場開放の影響は、経済を越えて広範囲に及びますので、むしろ、自由化と共通化の対象を厳密に規定すべきであり、各国において、なし崩し的な制度崩壊や内政破壊が起きないための工夫を要するのです。

 TPPが、成功した経済圏となるためには、公平かつ適正なルールの下で、参加国の国益と経済圏としての繁栄の両者を実現しなくてはなりません。日本国政府は、TPP交渉に参加するに当たっては、意見対立をも怖れずに、この難題の解決に向けて最善を尽くすべきと思うのです。

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