時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

女性宮家―配偶者と外戚問題こそ重大

 マスコミ等では、宮内庁は、皇位継承の安定化を理由として、女性宮家の創設を提案したと報じています。一方、藤村官房長官は、この問題は、女性天皇女系天皇とは切り離して議論すると述べていますので、両者の見解には相違があります。

 藤村長官の見解に従うならば、皇位継承資格がない女性宮家を想定していることになり、宮内庁の説明と矛盾します。女性宮家の当主の配偶者が一般人であれば、その子の王は、男系男子継承を定めた第一条により、皇位継承資格がないのです(皇室典範第七条は王の即位を想定…)。おそらく、藤村官房長官は、皇室典範の第12条を改正し、皇族女子が婚姻しても皇族の身分を維持できるようにしたいと考えているのでしょうが、皇位継承資格がない女性宮家は、宮内庁が提示した問題の解決策にはなりません。また、女性宮家が、婚姻後も皇族の籍を維持するならば、配偶者の籍が問題となり、もし、配偶者の方が皇籍に入るとしますと、事実上、婿養子を迎えることになり、これもまた、皇室典範の第九条に違反する可能性があります。このように考えますと、この改正問題、やはり、配偶者問題に行きつくのではないでしょうか。一方、歴史上、女系天皇は一人たりとも存在していませんので、これを認めますと、天皇が正当性を失う高いリスクを伴います。

 今日、天皇家を取り巻く問題は、むしろ、配偶者とその外戚問題のほうが深刻なのではないかと思うのです。東宮家の惨状は、一重に、外戚とその取り巻きによる東宮家の私物化にあります(創価学会との関連も噂されている…)。配偶者は、皇統を継ぐ人物でなければならないのか、新興宗教の信者でもよいのか、外国人または帰化人でもよいのか、政治色の強い人物でもよいのか、あるいは、無条件に誰でもよいのか・・・。女性宮家の問題は、いままでうやむやにされてきた配偶者と外戚の問題を国民に問いかけていると思うのです。

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