時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

東電の国有化は望ましいのか

昨日、政府が、東京電力に1兆円の公的資金を注入するとする情報が流れたことから、株式市場では、東電株の暴落が起きたそうです。政府は、東電を本気で国有化するつもりなのでしょうか。

 東電株の暴落の原因は、東電国有化の憶測からとされていますが、実際に、政府が、東電を国有化しようとしますと、国会での議論や立法作業も必要となるはずです。しかしながら、報道では、公的資金の1兆円は、原子力損害賠償支援機構から拠出されるとしており、充分な議論を行った形跡がみられません。また、当機構は、賠償資金の不足に際して資金援助を目的としおりますので、東電を国有化するための株式取得に利用できるのか疑問もあります。当機構は、国債を発行することができますので、結局、1兆円分の国債を発行することになりそうなのです。一体、政府は、東電を救済しようとしているのでしょうか、それとも、地獄に落とそうとしているのでしょうか。このままでは、原発代替のための燃料費はかさみますし、賠償額も膨らむとしますと、東電の経営が行き詰ることは確かです。賠償金の支払いや国民負担の軽減のためにも、東電の利益確保に動くべきところを、政府は、逆に、経営悪化の方向の措置をとっているのです。

 本日の新聞情報によりますと、東電では、10%の電気料金の値上げを検討しているそうです。結局は、国民負担となるのですが、東電の事業益を減少させつつ、支出の方は増大さている政府の方針は、国民負担の増加と、電力問題のコスト上昇という結果をもたらすに過ぎないのではないかと思うのです。

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