時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

女性宮家問題―斎宮の議論がない不思議

 古来、未婚の皇女の重要なお役目として、伊勢神宮斎宮賀茂社の斎院がありました。14世紀には、既に途絶えてしまったのですが、現在でも、伊勢神宮では、皇女の方が祭主を務めておられます。

 目下のところ、女性宮家創設が政治課題として提起され、専門家?のヒアリングなども行われているようですが、誰も、斎宮や斎院については触れようとはしません。しかしながら、我が国の歴史と伝統に鑑みますと、内親王の公務とは、天照大神を始めとする神々に仕えることではなかったのかと思うのです。600年以上の時を経て、斎王の制度を蘇らすことには、疑問の声もあるかもしれませんが、天皇を祭祀の長とするならば、それを支える皇女の役割もまた、神事に関わるものであるほうが自然です。

 現在の女性宮家に関する議論は、現世的な思惑が先行し、祭祀をつかさどる家系としての皇族についてまで深く掘り下げた議論に至っておらず、どこか、浅薄な感を受けるのです。

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