時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

遺産全額徴収―先を読んでいない大阪維新の会

 ベーシック・インカム制度にせよ、遺産全額徴収制度にせよ、大阪維新の会の「船中八策」には、現実離れした政策が多々見られるのですが、その原因は、”独裁者”として君臨する橋下市長には、政策の影響を予測する、という重要な作業を行っていないからなのではないかと思うのです。

 例えば、遺産全額徴収制度が、実際に実施されたならば、どのようなことが起こるのでしょうか。もちろん、橋下氏が目論んでいるように、国民は、”使い切り”の方向に転じますので、預貯金を持たなくなることが予測されます。その結果として、我が国の金融機能が著しく低下することでしょう(国債の国内消化も危機に…)。不動産も徴収の対象ともなれば、土地家屋の保有の意識も低下します(法人名義の増加?)。加えて、徴収された不動産は一旦国有となり、代替わりの度に競売にかけられるとしますと、不動産価格の下落要因となります(法人による購入が増加?)。結局、最後は、相続問題のない賃貸住宅会社によって全ての住宅が買い取られ、国民は、借家住まいとなるのです。

 遺産全額徴収制度の影響は、さらに広範に及びます。過去からの蓄積があってこそ、現在の人々が、豊かに生活できるという側面もありますので、遺産全額徴収制度は、常に、”振り出しに戻される”制度とも言えます。見方によっては、国家による国民の財産没収制度なのですが、果たして、こうした制度は、国民を幸せにするのでしょうか。

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