時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮日本人妻帰国問題の違和感

 中井拉致問題担当大臣は、訪問先のモンゴルにおいて、日本人妻の帰国問題について、北朝鮮側と話し合いの場を設ける予定であると報じられています。米朝合意を受けた日朝関係の改善策との見方もありますが、この措置が、日本国民の対北感情を和らげるとは思えないのです。

 拉致の被害者の方々は、自らの意思に反して、強制的に北朝鮮に連れ去られました。一方、日本人妻とは、朝鮮籍の夫をもつ日本人女性であり、自らの意思で婚姻し、北朝鮮に渡った人々です。発端の違いを考慮しますと、両者を同列に論じることはできず、日本人妻の場合には、純粋に、被害者者であるとは言い切れない側面があります。日本国では、夫の籍に入り、夫の家に帰属するのが一般的な慣習でしたので、日本人妻は、不幸にして、その夫の出身国が、地上の楽園を謳いつつ、その実、悲惨な独裁国家であったに過ぎないとも言えます。現在でも、日本国籍を保持しているかどうかは定かではありませんが、日本国では、二重国籍が禁じられてもいますので、もし、日本人妻が、帰国を希望するならば、どちらかの国籍を選ぶ必要もあります。しかも、北朝鮮のことですから、これをチャンスとばかりに、親族を名乗る大勢の工作員を日本国に送り込むかもしれないのです。

 日本人妻のケースは、北朝鮮に渡った本人にも重大な責任があり、また、背景に北朝鮮のしたたかな謀略もあるかもしれないのですから、中井氏が狙うような国民の反応は得られないのではないでしょうか。拉致事件の置き去りを意図しているとしますと、なおさらのことと思うのです。

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