時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

教育―”褒めて伸ばす”の落とし穴

 誰もが、褒められればうれしいものですし、頑張ろうという意欲も湧くものです。世論調査でも、8割の人が、自分は、叱られるよりも、褒められた方が伸びる、と答えているそうです。

 その一方で、アメリカで行われた興味深い実験を思いだし、”褒めて伸ばす”方式にも、問題点があることを知っておいた方がよいのかもしれないと思うのです。この方式の欠点とは、褒める理由がないにも拘わらず、無条件に高い評価を与えると、その子どもは、より難しい問題に挑戦しようとはしなくなる、というものです。その理由は、子ども自身が、評価に値することを行ったという自覚がない場合には、次に難しい問題に挑戦した時に、失敗して評価を落とすのではないかと考えるからなそうです。つまり、高い評価を維持するため、すなわち、自己保身のために、あえて現状に留まろうとするのです。

 比較的リスクを恐れないとされるアメリカ人の子ども達でさえ、自己保身のためにリスク回避を行うとしますと、日本人の子ども達もまた、同様の行動をとる可能性があります。”褒めて伸ばす”は、無意味に実行してはならず、”良いところを見つけて”という条件を付しませんと、能力を伸ばす方向には向かわないのかもしれません。

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