時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

原発再稼働が争点の御前崎市長選の問題点

 浜岡原発の地元である御前崎市では、原発の再稼働を争点として三人の候補者が市長の座を競っているそうです。この原発地元の選挙、幾つかの問題を投げかけていると思うのです。

 第1に、原発再稼働を争点とするには、地元の合意が、原発再稼働の条件であるとする前提が必要です(市長の権限で止めると言い切る候補者もいる…)。しかしながら、電力会社と地元自治体が結ぶ原子力安全協定はあるものの、現行の手続きでは、地元の合意は、必要不可欠な要件とはされていません。このことは、市長の権限外の問題を、選挙の争点としていることを意味します。

 第2に、原発は、長期間の運転を想定して設置されています。地方自治体側も、原発受け入れを決定した時点で、この点は了解しているはずなのですが、途中で、この合意を一方的に反故にできるのか、という問題があります。

 第3の問題点は、地元自治体に再稼働に関する決定権を認めますと、政府のエネルギー政策よりも、自治体の決定権が優先されることになります。両者の判断に違いが生じた場合には、一体、どうするのでしょうか。

 第4に、中部電力は、御前崎市を含む、広範な地域に電力を供給していますので、御前崎市だけに決定権を与えることは、電力供給や電力料金値上がりの影響を受ける他の地方、企業、個人の権利を無視することにもなります。

 こうした問題を議論することもなく、市長選の争点としますと、今後、普天間基地問題の如く、原発再稼働問題は泥沼化する可能性があると思うのです。

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