時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

菅前首相が日本を救った?―認識の倒錯

 国民の多くは、福島第一原発の事故に際しての、菅前首相のパフォーマンス優先の行動が、事故の拡大に繋がったと認識しております。ところが、細野原発事故担当相は、菅前首相が、東電の撤退を阻止したとして、菅前首相こそ、日本国を救ったと高く評価しているそうです。

 仮に、菅前首相の巧みなリーダーシップによって、福島第一原発が水素爆発を起こさず、放射性物質の拡散もなく事態を収拾することができたとしたならば、確かに、こうした前首相に対する高い評価が妥当であるかもしれません。しかしながら、現実はそうではなく、たとえ菅前首相が東電の撤退を止めたとしても(政府事故調では東電の完全撤退説を否定…)、トータルで見ますと、あらゆる重大局面で、事態の悪化の原因となっております。政府、並びに、民間の事故調とも、菅前首相の現場介入について批判的な見解を示しており、首相の座にあった者としての事故責任は、逃れようもありません。

 しばしば、民主党議員の認識が、国民のものとは正反対であることに驚かされることがあります。民主党の認識の倒錯こそ、国民を、救いようのない政治不信に陥れていると思うのです。

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