時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

尖閣諸島国有化―問題は対日三条件にあり

 尖閣諸島をめぐっては、東京都が購入計画を進めてきたところ、昨日から、政府と地権者が合意に達したことから、国による購入が決定されたとの情報が流されるようになりました。真偽はまだ定かではないのですが、寄付金の行方を心配する声もありますが、国有化に伴う最大の問題は、中国側が示したとされる対日三条件の存在なのではないかと思うのです。

 中国の内部で決定されたと報じられている対日三条件の提案とは、日本国側が、(1)上陸させない(2)調査しない(3)開発しない、の3条件を順守すれば、現状を維持すると言うものです。この言い方は、逆から見ますと、受託を拒否すれば、中国側が武力行使を含めて、あらゆるオプションをとることを認めることになり、受託すれば、主権侵害の受忍し、将来における戦争の口実を中国に与えたことになります(日本国政府が、何らかの施設を建設した途端に、約束の反故を理由に戦争を仕掛けられる…)。しかも、この要求を日本国政府が律儀に守りますと、尖閣諸島の防備は手薄となり、いざ、中国側が、現状維持の約束を一方的に破って武力侵攻を実行に移した暁には、あっさりと、中国側に占拠されてしまう可能性が高いのです(三条件の提示は、中国側による”時間稼ぎ”との指摘も…)。受託しても受託しなくとも、どちらにしましても日本国は、窮地に陥るのです。野田政権の国有化の意図が、対日三条件の実行にあるとしますと、尖閣諸島の国有化は、極めて危険な様相を呈します。

 この窮地から脱出するためには、まずは、こうした”砲艦外交”を彷彿させる中国側の外交上の要求に対して、日本国側は、それが非常識であり、国際法にも違反することを中国政府に対して、毅然として説明すべきです。秘密外交の挙句に、中国に屈したとなりますと、野田政権は、我が国の歴史に汚名を残すことになるのではないでしょうか。

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