時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本の政治―小選挙区制プラス多党乱立の最悪パターン

 昨日、世論調査の結果、比例代表制では、維新の会がトップの支持率を集めたことを記事にしました。それでも、23.8%ほどなのですが、この結果は、日本国では、小選挙区制プラス多党乱立の最悪パターンが出現する可能性を示唆しています。

 小選挙区制とは、単純に、最大票数を集めた候補者が当選する制度です。例えば、ある選挙区に5つの政党の候補者が立候補したとします。選挙結果が、全有効投票数の内、A候補者が20%、B候補者が25%、C候補者が15%、D候補者が30%、E候補者10%となりますと、最高の得票数を獲得したD候補者が当選します。有権者の3分の1にも満たない票しか獲得していないにも拘わらず…です。この状態を世論調査の結果に当て嵌めてみますと、たとえ23・8%の支持率であっても、大多数の小選挙区において、維新の会の候補者が議席を獲得することもあり得ます。国民の4分の1以下の支持率であっても…です。この結果は、民主主義の観点からしますと、選挙結果と民意と間に、著しい隔たりが生じますので、望ましいものではありません。しかも、橋下氏のことですから、与党ともなれば、こうした問題点は無視して”民意”を振りかざし、独裁的な政治を推し進めそうなのです。

 小選挙区制が導入される際には、この制度を長期的に継続すれば、やがて、日本国でも二大政党に収斂されてゆき、小選挙区制が、政権交代の機能を果たすと期待されていました(二大政党制では、必ずどちらかが過半数以上の得票を獲得する…)。しかしながら、現実はと申しますと、小党分裂がさらに加速され、小選挙区制は、国民にとりまして、危険な制度に変貌しています。議席の増減よりも、まずは、この制度の見直しが必要なのではないかと思うのです。

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