時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

尖閣諸島の司法解決―注目される台湾の動向

 昨日、記者の質問に答えて、玄場外務大臣は、尖閣諸島について、今のところはICJで争う必要はないと発言したそうです。本来、日本国の領有に対して異議を申し立てている側が、提訴を持ちかけるのが筋なのですが、旗色が極めて悪い中国は、ICJで争うことを避けようとしています。それでは、台湾はどうなのでしょうか。

 実のところ、台湾は、国際司法裁判所規定の当事国ではありませんので、原則としては、この制度を使うことができないそうです。ただし、国連の安保理が条件を定めることで、ICJでの裁判の当事国になれるそうですので、台湾がICJに提訴する道が完全に閉ざされているわけではありません。もっとも、安保理等において中国側の妨害によって阻止される可能性はあります。ICJへの提訴が困難であるとしても、その他の解決手段としては、審査や調停に付すという方法もあります。この場合、中立的な国際審査委員会や国際調停委員会が設立され、法律問題も含めて審査されます。

 台湾が司法解決を求めるとしますと、中国との違いが際立つとともに、台湾の独立国家としての立場の強化にも繋がります。もちろん、中国と同様に、法的根拠に乏しい台湾が、こうした手段を選択するか否かは未知数です。しかしながら、台湾が、どのような手段で、尖閣諸島問題にアプローチするのか、という点は、注目すべきことです。そして、日台が、平和的な解決手段を選択するとしますと、それは、アジアの未来にとっても朗報なのではないかと思うのです。

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