時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”領土問題はない”は国際社会にアピールしてこそ

 ”領土問題”は、しばしば、この言葉を政治家が口にしたことで、失言騒動を起こしていきました。”領土問題はない”を、”歴史的経緯、並びに、国際法に照らして、まぎれもない自国領であり、他国の領有権主張は不当である”とする意味であるならば、尖閣諸島に対する日本国政府の見解は、まさにその通りであり、中国側の主張を認める必要はありません。

 その一方で、”領土問題はない”という主張は、国内において国民に自国の正当性を説明するためには役立ちますが、国際社会でアピールしませんと、現実に領土を守る効果はないと思うのです。日本国政府がすべきことは、尖閣諸島が日本国領である根拠を示したうえで、将来予測される中国による武力行使を、即、”侵略行為”として国際社会に認めてもらう環境を整えることです。中国は宣伝戦に長けていますので、国内だけで”領土問題はない”を叫んでいても、諸外国は、中国の言い分を認めてしまうかもしれません。世界第二位の経済大国に成長していることを考えますと、中国は、台湾と国交を結んでいた諸国を外交的に追い詰め、国交断絶を迫ったように、諸外国に対して、チャイナ・マネーや経済支援などを武器にして、尖閣諸島問題に対しても、踏み絵を踏まそうとするかもしれないのです。

 ”領土問題はない”は、唱えていれば大丈夫というわけではなく、実行力のある政策が伴わなければ、無意味となります。日本国政府は、法と正義に適った自衛権を発動するためにも、国内よりも、外国に対して、自国の正当性のアピールを強化すべきと思うのです。

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