時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ヨウ素剤を配布しなった菅前首相

 昨日、テレビの番組で、福島第一原発の事故に際して、政府は、ヨウ素剤を周辺住民に配布しなかったことが、問題として取り上げられていました。菅前首相は、”原発事故を最小限に抑えた功績は自分にある”と主張していますが、ヨウ素剤を配布しなかったという事実に、菅首相の冷淡さを感じるのです。

 チェルノブイリ原発事故の後、子ども達の甲状腺がん罹患率が上昇したことから、健康被害に対する対策として、各国とも、事故に備えて、ヨウ素剤を備蓄するようになりました。日本国の場合には、海藻類を普段の食事から摂取していることから、ロシアほどの被害はないと予測されてはいましたが、事故発生の一報で、まず、政府が行動を起こすとすれば、それは、ヨウ素剤の配布ではなかったかと思うのです。住民のパニックを抑えるためには、否定的なイメージのあるヨウ素剤を配布しない方が良いとする説もありますが、実際に、被害が起きたのでは、元も子もありません。低レベルの放射線健康被害については、諸説がありますが、たとえ、深刻な影響がないとしても、万が一に備えて政府がヨウ素剤を配布した方が、住民も安心したのではないでしょうか。

 菅元首相が、自ら救国の政治家を名乗っても、いま一つ、説得力がないのは、こうした住民を蔑にした行動にあります。菅前首相の立会演説会では、”売国奴”の声が飛んだとされていますが、然もありなむ、と思うのです。

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