時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

民主党政権の二つの決断の悪さ

 民主党政権の重大な欠点として、しばしば、”決められない政治”が挙げられています。しかしながら、民主党政権の3年を振り返ってみますと、独断専行の”決めてしまう政治”もまた、”決められない”同じくらい酷い結果をもたらしたと思うのです。

 野田政権の発足以降は、”決められない政治”が目立ち、迷走を続けているように見えます。その一方で、鳩山元首相や菅前首相の時代には、むしろ、”決めてしまう政治”に振り回されてきました。鳩山元首相は、普天間基地の移設、地球温暖化ガスの大幅削減、中国の黄砂対策への資金提供など、議会で十分な審議を行うことも、世論に諮ることもなく、首相一人で独走してしまいました。この結果、辞任せざるを得ない状況に追い込まれ、今日の政界からの引退の主因ともなっています。より計算高い菅前首相に至っては、浜岡原発の停止、ストレステストの実施、再生エネ法の制定…と、東日本大震災から僅か半年ばかりの間に、矢継ぎ早に全原発を停止させてしまいました。これらの判断も、経済界の了承を得ることも、国民に理解を求めることも、対応策を議論をすることもなく、首相のほぼ独断で行われたのです。電光石火の如くに…。これらの首相達の決断の結果、日本国は、政治も経済も迷走することになったのです。

 民主党政権は、迅速に決めるべき事柄については決められず、充分に時間をかけるべき事柄については自分勝手に決めてしまっており、この両面において、決断が最悪でした。民主党政権の”決められない政治”ばかりが問題点として注目されますと、次期政権は、”決める政治”の実現に躍起になり、前政権の”決めてしまう政治”の失敗を繰り返すことになりかねませんので、この点は、気をつけなければならないと思うのです。

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