時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

築400年の大阪府最古の古民家解体―維新の会は偽保守では

 昨日、NHKクローズアップ現代では、珍しくも、歴史的な文化財の保護体制に不備があることを、番組のテーマとして取り上げられていました。番組を見て驚いたのでは、築400年以上の大阪府で最古の古民家の「渡邊邸」が、今年4月に大阪府文化財指定が解除され、遂に解体されてしまったというのです。

 若干詳しく調べてみたところ、許可したのは、大阪府教育委員会ですが、相続税を理由に文化財の解除が行われたのは、初めての事例なそうです。大阪府では、買い取りも検討したそうですが、5億円もの費用がかかると言うことで、断念したと言います。しかしながら、この古民家、5億円を遥かに上回る歴史的な価値があることは誰の目にも明らかですし、大阪府ともなれば、財政難とはいえ、5億円程度であれば、多少無理をすれば捻出できない額ではありません。物納や寄付による保存基金の設立、さらには観光名所化など、他に救済手段が全くなかったとも思えないのです。教育委員会との関係も取り沙汰されていますが、仮に、維新の会が、日本国の伝統文化や歴史を尊重する保守の立場であれば、解体を回避し、400年に亘って大阪の歴史を見守ってきた民家を、行政の手で保存できたのではないでしょうか。にも拘らず、維新の会が、保存のために積極的に動いた形跡は、見当たらないのです(情報不足なのかもしませんが…)。一度失われたものは、二度と戻ってはきません。

 教育委員会による異例の文化財指定解除をみすみす許し、何らの救済策をも講じなかった大阪府の姿勢に、表面的には保守を装いながら、その実、社会国家主義政党に過ぎない維新の会の本質が垣間見えるかのようです。保存運動をされた方々や、大阪府民の方々の無念な想いを全く理解していないとしますと、維新の会は、大阪の地方政党としても、支持を得られるとは思えないのです。

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