時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

憲法第9条とSF小説

 憲法第9条の発想は、どこから来ているのか、という疑問に対して、一つの有力な説があります。それは、SF小説の父ともされるハーバート・ジョージ・ウェルズというイギリスの作家の発案であると言うのです。

 ウェルズ氏は、書斎に引き籠って執筆活動に専念する小説家ではなく、第一次世界大戦後には、国際連盟の樹立を提言し、1922年に軍縮のために開催されたワシントン会議にも出席した活動家でもありました。このことは、日本国憲法が、ユートピア的な思想の影響の下で起草されたことを示すものでもあり、日本国憲法が、現実離れしてしまった一因ともなったのです。ウェルズの原案では、”戦力の不保持”は、”全ての国”が実行すべきとされていましたが、結局、この思想を受け入れたのは、日本国とコスタリカの2国だけでした。つまり、ウェルズの平和構想の前提は実現せず、一部の国だけに残ってしまったのです。

 この点を考えますと、日本国だけで、この理想を追求したとしても、平和が実現されるはずもありません。憲法改正の議論は、こうした第9条に内在している欠点を踏まえて行われるべきではないかと思うのです。

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