時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

アルジェリア人質事件が否定したイラク人質事件被害者の言い分

 アルジェリアで発生した人質事件は、まことに理不尽です。アルジェリアの発展に貢献するために現地に赴きながら、武装勢力の手によって命を奪われた方もおられるのですから。

 外国で起きた人質事件といいますと、2004年に発生したイラク人質事件が思い起こされます。この時、ボランティアでイラク渡航して人質となった女性は、後に、”自分達が人質となったのは、憲法第9条を踏み越えて自衛隊イラクに派遣したからであり、また、釈放されたのは、憲法9条の精神を犯人側が理解したから”と述べたとされています。しかしながら、今般のアルジェリア人質事件は、この言い分を否定しています。日本国政府は、マリには自衛隊を派遣しておりませんし、憲法第9条に関係なく、日本人もまた殺害されているからです。しかも、イラクでの事件で人質が解放された本当の理由は、憲法第9条ではなく、日本国政府が、20億円ともされる身代金を支払ったためとされております。加えて、憲法第9条の精神を理解したとされる武装勢力が、その後、武器を捨てた気配は微塵もありません。

 今回の事件で日本人が標的にされたのも、この時の対応がテロリストに対して甘かったため、日本国はテロに弱い、とするイメージが、テロリストの間で広がっていたからかもしれません。憲法第9条の精神は、平和的解決という名の譲歩を政府に促すことで、期待とは逆に、テロという反平和的な行為を助長したのではないでしょうか。

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