時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”大人になって”という言葉に要注意

 維新の会の橋下氏が、みんなの党の渡辺代表に”大人になって”と呼びかけたことが発端となって、両党の協力関係の模索は、激しい非難合戦に転じてしまったそうです。実のとことろ、”大人の…”という言葉には、要注意であると思うのです。

 こうした言葉、大人が子どもに言う分には、問題はないのですが、大人が大人に使う場合には、関係悪化の原因となります。何故ならば、発言者の側は、自分自身を成熟した大人の立場に置く一方で、相手方を大人になりきれていない未熟者と決めつけているからです。未熟者のレッテルを張られた側は、反発するに決まっています。しかも、ここで言う”大人”とは、どこか、相手に打算や妥協を求めるニュアンスがあり、むしろ、”大人の狡さ”を求めているようにも聞こえます。橋下氏にしましては、維新の会とみんなの党が協力すれば、政界の一角を占めることができるから、多少のことは目を瞑って、と言いたかったのかもしれません。しかしながら、”大人になって”という言葉を口にした時点で、自ら協力の基盤を壊してしまっています。

 大人とは何か、という議論を始めますときりがありませんが、”大人になって”とか、”大人の対応を”という言葉を使う時には、相手とのけんかを覚悟しなければならない、とは言えそうです。弁護士出身の橋下氏は、言葉を相手方への攻撃の武器にしてきたことが、政界では、裏目に出ているのではないかと思うのです。

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