時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

柔道精神に誠実であった全日本女子柔道選手達

 本日、新聞紙面上に、暴行とパワハラJOCに対して前監督を告発した、全日本女子柔道の声明文が掲載されておりました。女子柔道ということもあり、当初は、フェミニストの陰謀といった見方もありましたが、この声明文を読む限り、全日本女子柔道の選手達こそ、柔道精神に誠実に従って行動したのではないかと思うのです。

 公表された声明文には、こうした行動を取ることによる選手達の迷いや苦しみが正直に吐露されており、よくよく考え抜いた末での告発であったことが分かります。東京へのオリンピック誘致や柔道そのものに対するマイナス影響など、周りの人々への心配りを随所に読みとることができます。それでもなお、告発に踏み切った背景には、このままでは、日本の柔道の現状に対する危機感があったのかもしれません。選手たちの批判の対象が、直接的な原因となった監督に留まらなかったのも、不透明な代表選考をはじめ、柔道界の体質そのものが、柔道精神とは、およそかけ離れたものとなっていたからなのではないでしょうか。柔道とは、精神を鍛えるための修行の道でもあり、道場が、感情に任せて選手に暴力をふ振ったり、ましてや、人としての尊厳を踏みにじる場であってはならないはずです。

 上の人々に意見したり、批判するのは、相当に勇気と覚悟のいることです。全日本女子柔道選手達が、自らの不利益を顧みず、柔道精神のために身をなげ打って告発に臨んだとしたならば、それは、柔道教育の賜であり、純粋なる柔道精神の発露であったとも思うのです。選手達の勇気ある行動が、柔道界を浄化し、真の柔道精神がよみがえる第一歩となることを、切に願うのです。

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