時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

対馬の観音寺住職さんは韓国の浮石寺住職に説教を

 国際法も国内法も無視した韓国による対馬の盗難仏像返却拒否事件は、多くの日本人の心を痛めると共に、心底から憤慨させています。しかも、地裁による仮処分の然ることながら、仏像の所有権を主張する韓国の浮石寺の住職が、被害に遭われた対馬の観音寺を訪問し、慰労の手紙、浮石寺を象徴する人形、そして、別の仏像を贈呈すると言うのです。

 浮石寺の思惑は、おそらく、盗まれた仏像を返還する代わりに、こうした贈呈品を手渡すことで示談にしようといことなのかもしれません。しかしながら、この事件は、れっきとした窃盗事件です。仏教の五戒の中にも、人のものを盗んではならない、とする「不偸盗戒」があります。また、ブッダは、「…他人の所有物をば、与えられないのに盗む心をもって取る人-かれは、賤しい人であると知れ」という言葉を残しております。窃盗を容認するようでは、浮石寺の住職は、仏教を理解していると思えません。浮石寺側は、もともとは倭寇に盗まれたものと主張したいようですが、倭寇が仏像を略奪するのは不自然ですし(仏罰が当たるようなことをするとは思えない…)、もちろん、略奪したことを証明する史料も残っていません(韓国の学者が根拠もなく可能性を指摘しているだけ…)。しかも、仏像が造られた当時の浮石寺は、李朝時代の廃仏政策で廃絶されており、現在の浮石寺は、寺の名は同じでも、近代に至って再興されたものとも指摘されています(情報が錯綜してはいますので、未確認なのですが…)。

 国境を越えた文化財の窃盗は、ユネスコ条約といった国際法や刑法によって解決されるべきであり、韓国側の申し出を安易に受け入れますと、法秩序が崩壊します。窃盗は、仏教でも堅く戒められているのですから、観音寺の住職さんには、ぜひ、浮石寺の住職に説教をしていただきたいと思うのです。

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