時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国は尖閣諸島を侵略問題化するのか

 昨日、中国外務省の華春瑩報道官は、定例の記者会見で、尖閣諸島を”核心的利益”と述べたそうです。これまで、台湾やチベットに対してこの言葉を用いてきましたので、不穏な発言であり、中国政府が、尖閣諸島を奪うためには、武力行使も辞さない構えを見せたとも解されています。

 これまでの中国の戦術は、軍事的な圧力を日本国にかけることで、尖閣諸島を”領土問題化”する、というものでした。”領土問題化”とは、日本国政府が、中国の領有権主張に理解を示すことで、フィフティ・フィフティの関係となることです。即ち、”領土問題化”を認めれば、尖閣諸島に対する領有権を半分、中国に譲るに等しくなるのです。尖閣諸島の領有権は、国際法上において既に日本領として確立しておりますので、領土問題化は、法秩序が崩れることに他なりません。そこで、日本国政府は、頑として領土問題化を拒否しているのですが、この態度に業を煮やしたのか、中国は、紛争のレベルをエスカレートさせる方向に舵を切ったようなのです。

 しかしながら、中国が、実際に軍事行動に出るとなりますと、その行為は、国連憲章第7章における、平和に対する脅威…の問題となります。つまり、領土問題化を飛び越して、国際社会における侵略問題として扱われることになるのです。中国は、国連の常任理事国ですので、安保理において拒否権を発動するつもりなのでしょうが、国際社会における中国に対する信頼性と威信は、地に堕ちると思うのです。

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