時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”三浦賞”への疑問-国民高齢者賞の奨め

 80歳という高齢で世界最高峰のエベレストの山頂に立つことに成功し、登頂最高齢記録を塗り替えた三浦雄一郎氏。マスコミなどでは、快挙を称える報道が続いておりますが、政府もまた、三浦氏の名にあやかって、高齢者の偉業を表彰する”三浦賞”を新設する方向で検討に入ったそうです。

 しかしながら、この”三浦賞”、幾つかの点で疑問を抱かざるを得ないのです。第1に、”記録は破られるためにある”と言われますように、あらゆる記録は、破られる運命にあります。登頂のニュースの直後に、三浦氏よりも高年齢の方の登頂計画が報じられておりましたが、三浦氏の記録が更新されるのは、時間の問題でもあります。仮に、三浦氏より年齢の上の日本人が記録を更新した場合、その扱いは、一体、どうなるのでしょうか(三浦賞を受賞?それとも、三浦賞から○○賞に名称変更?)。短期的に記録が塗り替わる業績である場合、恒久的な賞の設けることには慎重であるべきです。第2に、知名度の高い三浦氏には、資金や技術面で支援してきたバックが存在しております。一般の国民には、こうした支援団体は付きませんので、三浦氏の記録は、”造られた記録”でもあるのです。第3に、通常、その功績が、長期的な評価に耐え、その名が後世に末永く残った場合に、記念の賞が設けられます。ところが、三浦氏の場合には、どうも順序が逆なようなのです。最後に挙げるとすれば、賞に、軽々しく個人名を付けることにも、違和感があります。しかも、記録が不安定となりますと、賞の権威も軽くなります。

 もちろん、高齢を押して世界記録に挑戦し、目的を達成することはすばらしいことです。その一方で、国家レベルで個人名の賞を設置するとなりますと、むしろ、鼻白む国民も多いのではないでしょうか。素直に”国民高齢者賞”を設置し、その賞を三浦氏に授与する方が、まだましなのではないかと思うのです。

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