時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

朝鮮半島の海に眠る日本人犠牲者

 戦争末期の朝鮮半島における日本人の悲劇を描いた「竹林はるか遠く」が、今月、邦訳版として出版されました。この本書は、当時、朝鮮半島に居住していた日本人を襲った過酷な運命を知る上での貴重な資料でもあります。

 本書では、朝鮮人、特に、抗日パルチザンによる日本人大量虐殺があったことを、生々しく描いています。これまでにも、朝鮮半島では、数万人の日本人が大量虐殺の犠牲となったとされてきましたが、韓国も北朝鮮も、この事実を正式に認めたことはなく、詳細は不明でした。最近になって、北朝鮮側が、日本人の遺骨返還を持ち出すようになりましたが、報道によれば、平壌近郊だけで2千柱が荒れ地に埋葬されているそうです。しかしながら、日本人犠牲者は、2千人どころか、北朝鮮地域だけでも3万5千人とも指摘されており、これらの方々の行くへは杳としてしれません。ところが、本書の記述から、ようやく、日本人犠牲者の眠る場所が明らかとなりました。当時、友人達と共に朝鮮人を装っていた著者の兄は、端川にあった抗日共産軍の司令部でアルバイトとして働いており、その仕事が、日本人犠牲者を、麦わらで編んだ袋に入れて崖から海に投げ入れる、というものであったそうなのです。

 海に投棄する方法が、端川だけではなく、他の地域でも行われていたとしますと、朝鮮半島の海には、多くの日本人が、未だ供養もされずに眠っていることになります。日本国政府は、投棄場所などに関する正式な調査を実施し、遺骨の収拾と慰霊を行うべきではないかと思うのです。

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