時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

原発事故を乗り越えるという発想はないのか

 参議院選挙を控え、野党の中には、自民党との対立軸を明確にするために、争点を原発の再稼働反対に絞って有権者の支持を集めようとする候補者も現れています(国政は幅広い分野に及ぶので、一点集中では、政治家としての能力には不安がある…)。東京都や新潟県では、反原発勢力が担ぐ候補者に追い風が吹いているとの意見もありますが、果たして再稼働反対は、正しい選択なのでしょうか。

 あらゆる有益な技術の陰には、必ずや、失敗の連続があるものです。否、失敗を努力の末に克服したからこそ、技術的な発展を遂げることができたといっても過言ではありません。原子力技術は、核兵器と共に登場したため、イメージが損なわれてきた面はあるものの、核分裂によって莫大なエネルギーを供給できる技術が、人類に大いに貢献してきたこともまた確かなことです。70年代に石油危機で落ち込んだ日本経済を、再度、成長の軌道に乗せたのも、電力を大量かつ安定・安価に供給する原発あってのことです。不幸にして発生した福島第一原発の事故は、そのリスクを明らかにしましたが、この事故を以って、原子力技術はこの事故を乗り越えられない、と断定し、技術そのものを放棄しようとする態度には疑問があります。仮に、事故を理由に技術を諦めてきたならば、人類は、これほど生活水準を向上させることはなかったことでしょう。

 技術を放棄するのは簡単なことですが、それは、将来の可能性というものをも捨て去ることを意味します。原発事故を乗り越えて、より安全な技術を確立する、という発想があってもよいのではないかと思うのです。

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