時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

あまりに欲張りな韓国-日本国による巨額な在朝鮮資産の請求権放棄

 在日韓国大使館から、戦時中における朝鮮半島での動員に関する名簿等の新たな資料が発見されたと報じられおります。作成時期は1950年代であり、日韓交渉に際して準備された資料ではないかと憶測されているそうです。

 今後、韓国政府は、この資料を既存の資料と突き合わせながら分析するそうですが、戦時徴用の個人賠償の根拠として利用される公算は高いものと思われます。しかしながら、日本国は、韓国に対し、既に巨額の”賠償”を行っております。日韓請求権協定の文面には、日本側からの経済協力しか記載されていませんので、日本側が支払った額は、無償・有償合わせて1800億円と理解されています。しかしながら、朝鮮半島に残した資産は、1945年の時点で702億5600万円にも上ったそうです(外務省の調査より)。この額、現在の金額にしますと、およそ9兆5472億円に換算されます。しかも、当時の日本国の国家予算が、昭和7(1932)年で14億74900万円、昭和11(1936)年で22億7千800万円であったわけですから、702億5600万円の額は、莫大な額と言わざるを得ないのです。35年の併合期間の間、朝鮮半島には、常に日本政府からの財政移転(インフラ整備…)と民間投資の累積されていたのですから、この額は、当然と言えば当然です。交渉当初、日本国政府は、朝鮮半島に残した資産の請求権を主張したのですが、最終的に放棄した理由は、韓国政府が、アメリカ政府に、日本国の請求権に関して照会したことによります。アメリカ政府は、サンフランシスコ講和条約の第2条を根拠に、日本政府の請求権を否認する回答を示したそうなのです(竹島の件ではラスク書簡は無視しながら、自己の都合の良い判断については積極的に利用…)。もっとも、実のところは、第2条は領域に関するものであり、在外資産までも含むものとも思えません。講和条約発効後のことですので、日本国政府は、講和条約の解釈をICJに求めるといった選択もあったのでしょうが、冷戦における韓国の役割や朝鮮戦争による疲弊等に鑑みて、請求権を放棄したのです。

 かくして韓国は、連合国の一員ではなかったにも拘わらず、戦勝国と同じ”賠償”の恩恵に浴し(サンフランシスコ講和条約第14条の賠償権はない…)、その上、日韓基本条約でも、経済協力資金を獲得しました。これ以上を望むとしますと、韓国は、あまりに強欲なのではないかと思うのです。

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