時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

慰安婦問題解決済み-日本国政府の説明不足

 慰安婦問題については、先日も、国連人権委員会において日中韓の間で非難の応酬が繰り広げられました。日本国政府も反論はしたものの、舌鋒鋭い、というわけではなかったようです。

 主たる反論は、「日韓請求権協定」や「アジア女性基金」を根拠として”解決済み”とするものですが、この一言だけでは、”慰安婦被害”の実態が正確には伝わりません。韓国側は、強制性を根拠に、あたかも、国家犯罪による被害と見なしたいのでしょうか、現実に起きたことは、20万人といった数字とは程遠い数の犯罪被害です。犯罪被害に対する支援は、日本国内でも犯罪被害者に対して国から給付金の支給等が可能となったのは、2004年に犯罪被害者基本法が成立した以降のことです。日本国政府は、「アジア女性基金」は、国家命令による強制連行に対する賠償ではなく、”犯罪被害”に対する支援金であったことをより明確に説明すべきです(しかも、”被害者”には立証責任は求められなかった…)。もう一つ”被害”あるとしますと、それは、元慰安婦達が訴訟を起こした預金の返還問題です。この訴訟は、元慰安婦達が高給を得ていたことの証拠でもありますが(慰安婦時代の2年半の間に貯めた郵便貯金2万6145円は当時としては大金…)、この問題については、日本国内の裁判所において既に「日韓請求権協定」において解決済みとする判決が下っています。また、戦時徴用としての女子挺身隊についても、「日韓請求権協定」において解決しています。ですから、日本国政府は、この点についても、国家犯罪としての強制連行に対する償いではないことを明確にしてゆく必要があります。

 日本国政府が詳細な説明を試みるだけで、河野談話に起因する誤解の多くを解くことができます。日本国政府は、河野談話の再検証と並んで、説明の精緻化にも努めるべきではないかと思うのです。

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