時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

グレンデール市慰安婦像訴訟―表現の自由にも制約がある

 今年2月、日系米国人の方々が、意を決して、グレンデール市を相手取って、慰安婦像の撤去を求める訴訟を起こされました。その一方で、米大手法律事務所「シドリーオースティン」の辣腕弁護士が、被告代理人を引き受けるそうです。

 この弁護士は、表現の自由を掲げて、慰安婦像の設置を正当化を試みるようですが、表現の自由は無条件かつ無制限に保障されるわけではなく、当然に制約があります。他者の権利を侵害したり、名誉・信用を棄損する行為は、表現の自由に制約が課せられる理由となるのです。グレンデール市の慰安婦像は、碑文が添えられており、その碑文には、”戦時中、日本軍が強制連行して性奴隷にした20万人の婦女子が慰安婦にされた”と記されています。この文言、市議会で承認されたわけではないそうですが、裏付けも証拠もなく、20万人という数も、千田夏光という人の著書が発端となって、数字だけが独り歩きしたことが分かっています。誤った知識の拡散は許されないことですし、こうした文言が既成事実化されれば、日本国、並びに、日本人の名誉と信用は著しく損われます。法は、表現の自由を保護する一方で、名誉や信用をも保護するものです。

 被告弁護側が”表現の自由を守れ”を訴訟の争点としたことは、碑文を含めた慰安婦像の表現内容そのものが争われるわけですから、原告側に有利に働く可能性があります。被告側にとりましては、”藪蛇”になるかもしれないと思うのです。

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